Startup Weekend Fukuoka で選考外だった話
http://fukuoka.startupweekend.org/
11/9〜11/11に、
StartupWeekendという、サービスの立ち上げを体験できるイベントに参加しました。
アメリカの西海岸で行われているような起業のプロセスを、3日間に凝縮して行うという中身の濃いイベントです。
ブログに書くまでが参加ということで、備忘として、宣伝として、次に繋げるために書きます。
長くなりますが、よろしければおつきあいください。
Day 0
参加を決めたのは2日前でした。なぜ参加したかったか、それは、
・知らない人と何かのモノ作りをすることで知識の幅を広げたかった
・盛大に失敗できる
・前週行われたPHPMatsuriに触発されて
という理由でしょうか。仕事をしていると、どうしても固定のメンバーとの開発になるので刺激がほしいというのもありました。「起業したい」という思いはなかったですが、それでもいいと言われ参加を決めました。
このイベントのおおまかな流れは
サービスのアイデアを持っている人たちが1分間のpitch(プレゼン)をしたあと、そのサービスに賛同する人たちが集まってチームとなりサービスをブラッシュアップし、最後に審査員(投資家想定)に対してプレゼンテーションを行います。
審査で1位になったチームは世界大会に進出し、ブラジルのリオまで行けちゃいます。
Day 1
会場に着くなり、ビールとピザで乾杯です。アメリカならではのノリですね。
ある方に「何ができるんですか?」と尋ねられたので、プログラマーですと答えたら「プログラマーが多いですね」みたいなことを言われました。
UIに関する知見を広げられたらなぁと思ってたので、できればデザイナーの人と組んでみたいなあと考えていましたが難しそうです。
pitch体験
ファシリテーターからの挨拶のあと、参加者全員チームに分けられました。そこから、「何でもいいから単語を出して」という指示。
何でもいい、何でもいいのです。だけど、そう言われると出てこない。。
結局20ワードほど集まりました。そこからチームで2ワードを選び、その2ワードから何かしらのサービスを考えて、とのこと。連想ゲームみたいですね。
私たちが選んだのは「えび」と「SEXY」
そこから、「えび」→「剥く」、「SEXY」→「キレイになる」という流れで、
「彼女に張り付いた、美肌にいい成分が入った何かしらの殻を彼氏が剥いていきキレイになっていくというカップル向けのエステサービス」というサービスを生み出しました。
。。。なんじゃそりゃ、って思わないでくださいね。こういうことからサービスって生まれるもんなんですよ、きっと。
いよいよpitchタイム
という余興で場の空気が和んだあと、いよいよ1分間のpitchタイムが始まりました。
アイデア持ってる人っていっぱいいるんだな〜というほど結構な数の発表でした。そこから興味を抱いた人に対して根掘り葉掘り聞けるタイム。
自分が興味を持ったサービスは3つ。それぞれ、興味のポイントが異なりどれも参加してみたかったのですが、ヒアリングの結果
・やることが明確
・自分のスキルがどう活かせるか
・押しに負けた
という事で、「ExchangeCard」という電子名刺に関するサービスに入ることを決めました。集まったメンバーは4人。
その後、自己紹介や方向性を確認して1日目は終了。2日目からサービス開発スタートです。
なお、このブログ内では、私たちのチームが作ったサービスの詳細については言及を控えます。
Day 2
2日目は朝9時からスタートです。
私のチームはサービスの説明もし易くやることも明確なので、あとは動くもの作ってブラッシュアップしていけばいいのかな、という考えでいたら、いろいろとハードルがありました。
顧客開発
主催のジュリアンが「コキャックカイハツ コキャクカイハツ」という言葉を
この辺はあとで知ったんですが、「顧客開発モデル」はLeanStartupではよく使うんですね。
その時はよくわからず、とりあえず市場調査だということで、外に出て道行く人にインタビューを行うことになりました。
と、いち早く外に行こうとしていたらメンターの方に、
・どんなペルソナに聞きたいのか
・一度にたくさん聞くのではなく、知りたいことを明確にしてから
というアドバイスをもらい、おっと勇み足だったということで、質問内容をちゃんと決めました。
余談ですが英語は大事
メンターはほぼ外国の方です。日本語ができる方もいますが、やはりネイティブ言語で会話した方がニュアンスも引き出しやすいです。チーム内に英語ぺらぺらの方がいたのですごく心強かったです。
気を取り直してインタビュー
サービスのターゲットを「20〜30代のサラリーマン」と定め、「名刺管理に困っていることはないか」という質問を聞きに外に行きました。土曜の朝という時間に果たしてターゲット層はいるのかと不安でしたが、割といましたね。
カフェのテラスでお茶をしている人や、近くのイベントに参加している人など5、6人にインタビューをすることができました。
その結果、主に
・名刺管理に関して困っている人は少ない
・名刺管理は事務の人にやってもらっている
という実態が浮かび上がりました。
このままの方向性で行くと、サービスが成り立たない可能性がある!
というわけで、サービスについてのブラッシュアップに時間を割きました。「電子名刺の交換」ではなく、「出会ったことの記録」にフォーカスをあて、その方向性でサービス内容やビジネス展開を考えていきました。
何をやったか忘れるほどフル回転
昼から15時ぐらいにかけて、自分が何をやっていたのか記憶があいまい。
たぶん、あまり使わないような脳みそをフルに使っていたと思います。チームの皆さんが、いいサービス名やフレーズ、ビジネス展開を思いつく中あまり思いつかず、歯がゆい思いをしてました。
ロゴも決めないといけません。アルファベット「a」をモチーフにロゴを考える最中。
時間はあまりにも足りない
「サービスの方向性」「収益モデル」「目玉となる機能」「サービスのデモ」「サービスのロゴ」etc
決めることは山ほどありました。だけど時間がない。そして、没頭していると時間がないということを忘れるし、そもそも残っている課題も見えなくなりがち。
ということを防止するためか、15時にオーガナイザーと呼ばれるアドバイスしてくれる方に対して一度pitchをする時間がありました。
第三者に話すことでやらなければいけないことの整理ができ、また客観的な意見ももらえます。
課題が浮き彫りになり、残りのToDOをホワイトボードに書き、それぞれ何時までやるのかと役割を決めました。
私はデモに必要なサーバーの準備と、目玉となる機能の実装を担当しました。
水を得た魚のように作業
私の得意領域の作業ができるということで、やっとチームに貢献できるなぁと喜び勇んでサーバーを構築していきました。Railsでアプリを作ると考えていたんですが、そこにSqaleというpaperboyのホスティングサービスを教えてもらい、そこにデプロイしていきました。
(※めっちゃ使い易かったです。その感想は別エントリーに書こうと思います)
他のメンバーはそれぞれ、
・サービスのブラッシュアップ
・Androidアプリ構築
・サービスのモック作成
と役割を決めて、夕食を挟んで20時まで行いました。
やっぱり時間が全然足りない
モックやサービスのデモも出来上がり、Androidアプリとサーバーとの連携の部分でうまくいったときは、デベロッパーとして嬉しかったですね。
ただ、だんだんと下地は出来上がってきましたが、それでも明日のプレゼンで審査員の心に訴えれるまでには仕上がってない。前回優勝の「Oooi」というサービスが行ったプレゼンテーションがYoutubeにあるのでそれを皆で見てみましたが、よくできてました。ここまで行くためには明日1日だけでは足りないかも。
Day 3
ついに最終日です。泣いても笑っても最後。
私は、昨日帰ってから作ったロゴをメンバーに見せました。本職デザイナーではないのでめっちゃ不安でしたが、刺さるモノがあったようでそれを基にどんどんアイデアが広がりました。アイデアを具現化するべくあれこれ凝ってみようと考えましたが、いかんせん時間はないのです。「えいっ」という感じでロゴを完成させました。
他のメンバーも追い込みです。プレゼン用のスライドを作ったり、マネタイズの可能性をもう少し探ったり、発表原稿の草案を作ったり。
そういや食事は提供されるんですが、没頭しすぎて気づけばいつも最後のほうでした。
発表のリハーサルは最低5回
プレゼンに当たってのアドバイスももらいました。ポイントとしては、
・1スライドあたり、15ワードしか出さない方がいい
一度に多くの情報を提示しない方がいい
・発表者は1〜2人
大勢がやってもテンポが悪くなるだけ
・パッションを出して!
思いを伝えることが大事です
ということだったと思います。
午後イチの時点で、スライドも原稿もふわふわしていたので、私は焦ってましたね。
発表の方向性をどうするのか
午後に一度、発表のリハーサルを行いました。発表の大まかな流れとしては、
問題提起
↓
解決方法
↓
サービス紹介
↓
マネタイズ方法
でしたが、比重としてはマネタイズ部分が大きく占め、問題提起や解決方法の部分が弱いと私は感じました。
また、ターゲット層もぼやけているのかなあと。
そこで、ビジネスライクな部分をもっと削ることを提案し、最終的にマネタイズ部分をごっそり削りました。質問タイムの時にたくさん説明すればいいですし。。。
その後、決まった方向性を基にどんどんブラッシュアップとリハーサルを行っていきました。
カンペキな発表
いよいよ発表です。私たちのチームはトップバッター。
発表者は発案者の方。堂々たるしゃべりでした。最初の導入部分も、デモ操作も、つかみも、終わり方も、カンペキだったと思います。
「いった」と思いました、正直。
審査前の参加者投票でも1位でした。
でも、結果、圏外でした。
敗因がわからない
いや〜、ショックでした。みんなでブラッシュアップしたし、発表カンペキだし、自信あったのでなおさら。
盲目になっていることは自覚してます。だけど、それゆえ理由がわからない。
なので発表後は、審査員にいろいろ聞きまくりました。
すると、なるほどこりゃいかんわ、というような意見を頂きました。まとめると、
・できることはわかった。ただ、類似サービスもあるなか、優位性がわからなかった。
・マネタイズ部分が弱かった。
・新規ユーザー獲得方法が弱かった。
・登録ユーザーが大勢いる前提でのマネタイズは現実的でない。
・相手も同じサービスを使っている前提があるのがつらい。シングルユーズできる何かあれば。
という内容だったと思います。
その他にも、後で振り返ればわかるような反省点が多々ありました。
失敗することができた3日間
優勝は「Vicome」というサービスです。
私が説明すると誤解を生みそうなので割愛しますが、とても面白そうなサービスです。
Vicomeを始め、全てのサービスの紹介はこちらから
http://oreoka.com/2012/11/startup-weekend-fukuoka-2012-services/
さて、中身の濃い3日間をここまで振り返りましたが、参加してよかったです。
誤解を恐れずに書くと、「面白かった?」と問われれば「面白くない」と答えます。
もちろん、面白いと思う場面もたくさんありましたが、それよりも「大変だった」という部分が大きくて。
ただ、「収穫はあったか?」と問われれば「はい」と答えます。
講義型ではなく体験型であるがゆえに、五感をフルに使う分学べたことは膨大です。
何より、負けても借金が増えるわけではないので、盛大に失敗することができます。
私は人見知りです。なので「恥」というのが怖いですし、ましてや知らない人にあれこれ意見を言うのも忍びない。
でも、このイベントは恥をかくことも他人に意見を言うことも「前提条件」と考えれば、幾分踏ん切りがつきます。
また、マネタイズに関してはその大事さがよくわかりました。それまでは、「マネタイズ」というものに少々の嫌悪感を持っていましたが、サービスを立ち上げ持続させるには必要なものであり、見方も変わったかなと思います。
チームの皆様、本当にありがとうございました。
このチームだったから夢中になって取り組むことができました。
関係者の皆様もお疲れ様でした。
来年も出ます。